コクリコの妖精とデメーテール

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       Coquelicot (コクリコ)
     ヒナゲシ 虞美人草
     Grass of Yu the Beauty.



      雨上がりのコクリコ。
     暫く冬に戻ったように寒かったけれど。
     (日中も十度をやっと超える位)

     昨日ひと時強い日が射して、教会の植え込みのヒナゲシの花が眩しかった。




     クレタにケシの花の精という古い小さな石像がある。島に住んでいた頃は赤いヒナゲシは春の野に咲き乱れ、その頃にはカモミールも、時にはチューリップも群生した。原っぱのヒナゲシを "Tête de lit" (ベッドのヘッドボード) の上によく飾っていた。青いガラスの花瓶に挿すのが一番綺麗で好きだった。

     ベッドは白だったから、思えばトリコロール。海と空の青、家々や神殿の白、ヒナゲシの赤が私の原風景的なトリコロールかもしれない。

     誰か島の女性が作った、ケシの花の赤色を採って練って小さな白い貝殻にいれたものを見つけて、大切に使っていた。古代ギリシャの口紅だ。色はたった一色、私の肌色に似合ったと思う。



                                        
                    les Coquelicots     Claude Monet



     その昔、冥界の神ハデスがデメテールの子を奪い去ったとき、デメテールはアフィオーニ (様々な種のケシの花から作った)を飲み、心の傷や感情を癒したという。時が経ちデメテールは大地に降り、荒野を潤し肥沃にする女神になった。ケシは、戦いや災害で荒れ果て痩せた荒野に最初に咲く花の一つでもある、豊穣や再生、復活の象徴。ヒナゲシの赤い色が死後の復活を約束するという古いヨーロッパの伝説もある。こちらでは赤いお花を飾ることも多い、お墓には。特に野のお墓によく見るからか。赤いヒナゲシでお墓を飾るのも永眠と再生を願っているという。

     コクリコの咲く野は印象派の画家らに愛されたけれど、そんな風にモネの絵を眺めると、コクリコの野を歩く母子がより深く多義に、切なくも豊かに美しく感じられる。私も、ハデスに奪われたのかもしれない。誰にも、そんな風に思う人がいるかもしれない。
     
        喪失の悲しみから豊穣の女神となったデメーテールを介して
        芥子と冥界の神と、死と再生•誕生、荒野から豊穣が循環する



                      


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