フランスの総合診療医についてのメモ (WHO が総合世界一とする医療システムの実際)

0
    ヒマラヤユキノシタ 沢山さいています。


     
    フランスの総合診療医(メドゥサン Médicine généraliste )制度 についてのMEMO


     GP (General practitioner) 制度、はいくつかの先進国に存在するようですが、ここではGPの許可(オードナンス、処方箋)なく上位の医療を受診できない制度として書きます。日本にはこういう形態は存在しないので(私も当初新鮮で捉え難かった)、根本的に想像しにくいのでご興味のある方のために一筆します。一つ前の投稿の話題(十年後検診)に関連した補足です。医療従事者の方でも、自分が正式に国外の住人となり医療機関へ罹るということはあまりないでしょうから。。 
     
     私はオーストラリアで初めてGP、GPと聞きました。ナチュロパスのコンサルタントを受けた際にその言葉が出てきた訳ですが(GPへ行って云々)、かかりつけ医のようなものといわれると、私が小さい頃の町の開業医(かかりつけ)を想像しました(それは定年で閉院しました)。それは似て非なるもので、根本的に違います。日本でご近所にある◯◯医院という開業医のかかりつけでは全くないのです。結局、フランスにくるまでその意味が正しく把握できなかった、と今思い返します。これは、素晴らしいシステムだとおもいます。



    日本
     私の知る子供時代の日本のそこは、医師は一人でしたが、入ると受付があり同じ場所で会計時に薬まで処方していましたから薬局の役割も担っていましたし、中には診療室が二つあり、看護婦が何人かいらして、レントゲンまでもあり(風邪をひいて咳をしていれば、すぐにレントゲンでした)、吸入あり、注射も打つところでしたし、二階もあるようでしたから入院もできるのかもわかりませんでした。それは夫婦とか家族とか、そういうとても私的な繋がりの中の人々で、実際に自宅の続きでした。フランスで言う三つの分業のはずが、一つにすべてあったのです。
     近所にもう一つ開業医がいましたが、そちらも一人の医師で自宅を兼ねていましたが、看護婦が数人おり、子供時代も風邪で訪ねるとすぐに必ず注射を打つ(何の注射だったのでしょうか、その場で決まるので患者にはよくわかりません)、大量の薬を出すなど、人に寄っては悪くささやかれていました。一旦入ると、一人のお医者さんの判断ですべてが決まり、彼の決めたことが彼の収入源にもなる、というところでした。
    また、日本ではどこでも、かかった内容のカルテを医院が維持してしまいます。ですから、あちこち動くと自分の医療処置履歴が点々バラバラになって分散します。そしていつのまにか定年で閉院します。そのときカルテが頂けるわけではありませんし、他の医師が読んで把握する内容でもないかもしれません。よって、個人の人生の中での情報は結局不明確になります。私はホメオパシー医に聞かれた過去にかかったあるウイルスの名前がわからず、関連してきたので、閉院したところへカルテを頂きたかったのですが。そういう行為も非常識やご近所で云々といわれましたので、どんなにおかしな(地域)社会かと憤慨したものです。ある種、田舎だったのかもしれませんが。

     また、GPを決めるのではなく、病院を決めなければならない日本では、総合病院がカルテや検査結果を保管します。引っ越したり、疑問があって病院を変えたりすると、検査は一から、自分の体の健康に関するデータ(カルテ)がまた分散します。フランスではそういうものとは全く違う、根本的に違うシステムです。私が日本で「これはおかしい」と常々強く思っていた事が、ここでは解決されていて、「そうそう、こうあるべきよ。」という常識的な患者の健康の為の(病院経営がビジネス足り得ない)形があります。



    Rainy day  March


    フランス
     通称メドゥサン(メドゥサン•ジェネラリスト。フランスの総合診療医)は、一人単独の医師であり薬品や看護婦を持たず、予防接種などの注射など以外の処置をしない(その注射も自分のところには置いていない)。医院ではないので、もちろん、レントゲンや薬もありません。彼は判断者、判断の目という存在。

     アパートの一室などを借りた部屋には、書斎机と椅子と診察台しかないので彼の広いお部屋、という感じで、書斎机越しに普通の椅子にすわります。私の場合はよく夫と三人で、談話、という雰囲気に。机には、コンピューター。フランスのシステムである、カルトヴィタルという医療保健カードを本人から受けとって差し込んで繋ぎ、その中にあるチップにすべての情報があります。歯科でも眼科でも婦人科でも総合病院の受付でも検査技師にも、このカルトヴィタルを出し、コンピューターに繋いで中の情報をみれるカルテです。同時にその日の医療行為を書き込みます。この、患者(国民)が持っているカルトヴィタルが全国共通、全医療項目共通の診察券兼保険証、兼総合カルテ、兼総合処方箋履歴、検査履歴。(他には保険証も個別の診療院発行の診察券なども一切ありません、お財布にカルトヴィタルがあれば、倒れて救急車で運ばれても大丈夫、すべての自分の医療データや薬のデータがこのカードのチップに書き込まれています)。
     処方箋は誰にでもはっきりと読めますコンピューターでタイプして入力します。すべてはカルトヴィタルのチップ内に入力されるので、医療関係に手書きは存在しません。どこの医師がどの疾患にどの薬をどれほど出したか、どの薬局も見れます。

     メドゥサンには予約をして行くので、待つ事はありません。時間は厳格です。時間通り少し前にいく義務があり、ほぼ時間通りに呼ばれます。過去に、十分と遅れることはありませんでした。この辺りは大都会ではないので、だいたい、三日前後で会うことができます。急ぎや、開いていれば翌日、当日も可能。




                                                                              ←メドゥサン(クリックで拡大)




     メドゥサンの一回のコンサルタントはどこでも誰でも一定額です。一本の注射でさえ処方箋を書いて、薬局に買いにいかせて、再予約をして再来させますから、彼は常にコンサルタント代のみです。個人はそれがなんなのか、薬局に聞けますし、名前も箱も手にするので気になれば自分の家で注射の箱を前にしてインターネットで確認できます。(たとえばワクチンは要冷蔵ですから、薬局でアイスパックにはいって渡され、冷蔵庫保存し、短時間で運びます。日数(消費期限)も気をつけます。クライアントの自主性と責任感が必要。フランスでもワクチンの不必要など声が上がっていますが。)今回も、検査の前に一本の注射をしましたが、メドゥサンが出した処方箋で夫本人が薬局に買いにゆき、当日持参したものです。忘れたら、アウトです。

     総合病院はなんの決定権もなく、メドゥサンが指示した注射や検査以外を施術することも、請求もできません。薬局も、どこにいってもいいのですが、家のそばに一カ所決めておけば、その薬局がだいだい仲良くなり把握してくれます。
     薬局に聞けば、ご近所でどのメドゥサンがよりオルタナティブで、どの人は逆にオーソドックスで薬を沢山出すのが好きな人か、だいたいわかります。やはり現代医学ですから、日本の東洋医学のような観点の人がいるわけではありませんしここはもどかしいところではあります。カナダオーストラリアとかではもしかするとホメオパシー医などが処方箋を出せるのかわかりませんが。一度指定したメドゥサンを変えることもできますし、自分の街でなくてもよい。申請をするだけ。すべては透明です。



    Mouettes...
    子づくりの時期。喧嘩をしているオス。同じ巣からの兄弟では?
     喧嘩も見下しもしない(余談コラム)
     フランスでは「西洋医学」ではなく単に「医学」。近代医学と伝統医学が自分の場所で一本の同一線上の発達したもの。日本のように西洋だ東洋だと喧嘩分離していません。自分のところの「伝統」から「近代」であるわけです(同じ宗教内で発展)


     よって、同じ薬局で、このケースにふさわしい薬草(ティザン、煎じ茶)やホメオパシーの薬などを置いていて、相談できます。精油も薬局においてあり、薬剤師が本をチェックして教えてくれます。薬局によって、苦手、得意はあります。
     ノルマンディーは海の民(船内での長い航海時の医療)、とくに海辺には薬草や精油に強い薬局もあります。各種軟膏やクリーム、酔い止め精油ブレンド、爪や皮膚や頭皮のケア、などアロマテラピーで精油処方をつくって売っているところもあります。皆、普通の薬剤師でもありますから、同時に医師の処方をみて抗生物質も出す人です。

     以前、友人が癌センターにかかり化学医療を施した際、センターからのさまざまなアドヴァイスの中に、化学医療を始める◯◯週間前から深海鮫の肝油(こちらのマークECOMERでした)のカプセルを飲むようにと指示があり、それは免疫システムを強化し、水銀の解毒に優れているそう。Alkylglycerole アルキルグリセロールが重要のようです。またかなり細かい家での食事メニューの指示がダイエティシャンから出ており、本人もセンターでコンサルタントを受けたそう。

     喧嘩がない、軋轢がない、現代医療が伝統医療を見下していない。二分されていない、至って静か。医師にとっても代替医療も家で母や祖母が使ったもの。地球の反対から学んできて付け加えたものではないので、これらが同居することは自然なのでしょう。神道と仏教の同居のようなものでしょうか? 日本の西洋医学医師の多くが伝統医療を見下し知識がないのは、自分の一部を見下すようなもので、それは韓国や中国と喧嘩をやめない日本の姿に似ている共通点がある気がします。




    総合診療医のコンスュルタスィオン(コンサルタント、診察、診療)は30〜40分 ゆっくりと
     メドゥサンは、日本(東洋)で想像しやすく言えば、最良は恐らく、中医学や東洋医学の先生(さらに医大で医師免許を取った方など。フランスでメドゥサンになる先生は何年かけてどのくらい学んでいるか調べていませんが)が、マンションの一室などで登録メドゥサンとなって、薬局方の薬や検査指示の処方箋を発行できる、という感じでしょうか。​ 予防医学的観点がある方です。(ただしこれには病院側も、個々医療法人ごとの独立ではなく、壁を取り去り、連携と提携により全国で横に繋がり、才能と機能を分け合い開かれている必要があります。)
     子供の頃から知っていたり、家族を知っている。地域の人。仕事は順調か、どこか、どんなことをしているのか、機械や薬品を使うか、自分が長く居る場所(席)の周囲にそれが多いか、どんな機械か、重い物を運ぶか、歩いてどのくらいか電車か車か、生活の心配はないか、ご家族はどうか、最近結婚したとか転職した、子供ができた、、移住して何年目かなども話します。コンサルタントは一人30分〜40分位でしょうか。ゆっくり話しながら糸口がみえることも。
     心理的ストレスと、運動不足だね、ということもありますし、あ、これはどうかな、とおもったら検査にまわします。変な話、大事に聞いて注目してくれるので嬉しく安心でき、カウンセリングのようにお話に行ってしまう人も中には居ると思います。ちょっとそういう雰囲気もなきにしもあらず、怪しいホクロをみつけた、イボができた、で飛んで行って、残り時間で雑談している間に何か思い出したり、大事なことがあったり。まさに、コンサルテーションです。メドゥサンはいろいろ性格まで把握しており、それらを通して次の症状をみて判断します。よって、そのままで、ホリスティックな(全人的な)観点でその人を観てくれてもいる訳です。


    世界医療制度順位(医療水準ではなく、システム制度)でフランスが一番と知らずにいたので、少々驚きました。
    この記事の為の検索をしていて、偶然知りました。夫に聞けば、それはそうさ〜、日本が二番でしょ?この間みたら二番だったよ。(、、これにはそうは書いてないけど、、、それは医療水準じゃない?)


                Le prtit prince

                      
     判断者のメドゥサンの収入と、検査や治療や投薬はなんの相関関係もありません。彼の後ろに看護師が並んでいたりもしませんから、コンサルタントの間はクライアントと医師一人のプライバシー空間。自分の話を複数に聞かれたり、複数に診察を見られることもありません。このあたりはとてもデリケート。呼ばれるときも、医師自ら待合室にきて顔を見て(顔を憶えている)普通に呼ばれて握手をして、部屋に通されます。帰るときも彼が席を立ってドアを開けてくれ、握手の手を出してくれ、ではお元気で、良い一日を、ありがとうございましたと、お互いご挨拶をして別れますから、患者というより彼のお家へ来たような、とても丁寧な個人的知り合い関係の感じです。



                       Deauville


    このシステムの長所  
     この制度の良い所は、夫の手術時もそうですが、頭部に穴をあけてマイクロスコープでリスクの高い手術を行う場合など、自分で最高の医師を見つけて、執刀医をピンで指名し手術だけしてもらうことができることです。レントゲンもMRI写真もCD-ROM もマンモグラフィもあらゆる検査結果のデータはフランスは自分で保管しますから、すべて自分でもっていて、自分のところに溜まってゆきますから、それが可能です。今回のMRI検査でも、三年前の大きな写真とロムを本人が抱えて持ってゆきました。必要だと言われた訳ではない様で、自分で当然必要だろう、とおもったのでしょう(でも同じ総合病院にいったので、デジタルで保存してあっていらなかったようですが)。データを物理的に自分できちんと管理することで、自分で意識して責任感も持て「あ、また行く時期だな。」と本人からコンサルタントの予約をとったわけです。このシステムは患者も自分の健康に関して把握、自覚ししっかりしてくる気がします。これがAutonomy, Self government (in medicin) であり、前のポストへ書いた医療オトノミ(オートノミー)の話へ繋がります。「医療において患者にオートノミーを与えることは重要なゴールである」英語のウィキのAutonomy の医療の項目参照。

     EU内諸外国も恐らくそうで、夫もギリシャでの複雑骨折のレントゲンや術後レントゲン写真などすべて持っています(それを退院時に受け取りにいったのは私ですが。当然のように渡されました。それをGPや、GPが処方箋を出したリハビリ担当へも見せられるわけです)。
     病院がよくないと感じ変える感覚はなく、病院とは一回一回切れている、毎回どこを予約してもよい。もっともなにか大きなことであれば、毎回同じ所を自分が選ぶだけです。いずれもメドゥサンGPが介入しての治療なので、何が起こっているのかもわかりやすいのです。たとえば、こんな手術でなにを失敗すると、致死にいたるのか?という事故の時も、すべては医療現場からメドゥサンに即時報告義務がありますから、隠せません(患者にもメドゥサンに渡すようにとレターを渡し、患者も開封できます。が医師にもデータをデジタルで送っているようです)。ですから、隠蔽が絶対不可能なシステムに見えます。
    。。。人間は地上にいるかぎり、限りある(物質的な)体を持っている限り誰も仏様にはなれませんから、医療にしろなににしろ根本的に改善してくれるのはシステムと法です。。。

     エピソード
     さて、それで執刀医を指名したら、メドュサンに伝え、相互が繋がって連絡をとってくれます。夫の手術の場合は、彼曰く世界のどこへでも行くつもりで(顔面片側麻痺か片足麻痺のリスクもかなりあったので)最高の執刀医をネットで捜したところ、なんと自分の国のしかもパリにいた。そしてもう引退だといわれたけれども、お願いしてとうとう最後の執刀として受け入れてくださったという。三年前の検査時に、MRI技師が、「ちょっとよくわからないのですが、、一体どこをいじったのです?本当に手術をしました?信じられないなあ。魔法だ。」といったそう。夫は執刀医の名をいうと「ああ!その人か、、、さすがだ。彼は伝説だよ。最後の患者だったのですか?それは幸運ですね。」と感心されたそうで、ご機嫌で帰ってきましたが。
     手術は完璧で、顔や足や平衡感覚の後遺症もなく。雑音や聴覚の低下は誰にでもあるそう。術後はやはり当然平衡感覚がなく、よたよたとうまく歩けず。「勝負は、どれだけ早く歩きだし、どれだけ沢山毎日歩くかだ、それしかない。」とその先生に言われた彼は、真に受けてその瞬間から点滴のポールを支えに出て行って、院内を延々とくまなく歩き始めどこかへ行って、居なくなってしまった。看護婦さんに探されて叱られたそう。退院後は家の回りを、とにかく毎日歩いて、歩いて、歩いたのだそう。どこまでも。
     

        

         
           あるく人々   三月
     
     

    最近忘れっぽい私が。
    三年か四年ぶりに病院へいったので。
    忘れぬうちにいろいろなことを一気に書きとめましたが。溜息をつかれませんよう。
    また自分でも忘れてしまうかもわかりませんが。
    より多くの人が、こういう方法もあったと知る事で、
    そろそろ我が国も導入しないと、、という流れになるものです。
    国民の意識と知識がある割合や水準に達すると、
    現実化せざるを得なくなるものです。

    これを書いている私も、来年は日本や他の国へ居る可能性は無いともいえません。
    この為にここに住んでいるわけではないので。。
    ご縁のあるお相手がネパール人であったら今頃、ネパールの事情を書いていたことでしょう。
    ギリシャの事情ことは結構、忘れてきてしまいました。

     
     
                      
                              ホワイトネトル


    calendar

    S M T W T F S
          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30      
    << September 2018 >>

    France

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    • 簡易オイルランプの作り方。五分でつくれる明かり。ーロウソクのない時にー
      naomi (03/14)
    • 簡易オイルランプの作り方。五分でつくれる明かり。ーロウソクのない時にー
      ぎん (02/23)
    • ヨウ素(Iodine) ヨウ素剤について 雑記
      fanayuko (11/04)
    • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
      caen (09/21)
    • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
      fana yuko (09/09)
    • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
      caen (09/05)
    • アイリーン キャディ (フォンドホーン創設者)の言葉
      fana yuko (06/20)
    • アイリーン キャディ (フォンドホーン創設者)の言葉
      takako (06/20)
    • いろいろな道の選び方。 職業仕事、進路。
      ファナ yuko (06/17)
    • いろいろな道の選び方。 職業仕事、進路。
      takako (06/16)

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM