ドービルアジア映画祭「2015年 開催されず」 Deauville Le festival du cinéma asiatique

0
    Basse Normandie の地元紙 「ペイドージュ」の本日17日夕方のニュース記事より。

    来る三月に予定されていた恒例のドービルアジア映画祭が、今年、開催されない運びになったという衝撃のニュースが地元に流れて、すでにSNS上などでシェアされ、周囲に落胆と悲しみを呼んでいます。私も残念でなりません。


    2015年3月4日から8日に開催予定だった(イメージはプロモーションサイト  le public système 2014総集ビデオのプロモーションから)



    記事 Le Pays d'Auge

    訳)
    ドービルアジア映画祭は非開催
    ここ数日中噂が流れていたところへ、今日午後、ニュースが発表された。「2015年のアジア映画祭は、開催されません」

    ドービル国際センター(Le Centre international de Deauville )の声明によると:
    「創設から16年、アジア映画祭はメタモルフォースさせる運びとなりました。ドービルは世界で最も偉大な映画の数々を紹介してきました。アジアの主要地区の偉大な映画製作者や映画人(シネアスト)によるほぼ400本の映画(韓国、日本、中国、香港、インド、イラン、インドネシア、カザフスタン、、、)が提供されてきました。私たちは、この映画祭のアーティスティックな成功を大変誇りに思っています。しかしながら財政的制約は、主に公的資金と(市、主要な協賛パートナーを除いて)プライベート資金不足に縛られており、このフェスティバルを改革し、変更し、再編成させることを余儀なくさせられました。」
    Moralité : ドービルには2015年のアジア映画祭はありません。

    (ここまで訳)

     
      協賛は
      AIR FRANCE
          MAZDA
          LVT
          L'EXPRESS
          FRANCE CULTURE
          BASSE-NORMANDIE
      など。。。

       





    関連するアジアの国々からの応援の声があがりますように。
    西洋に置けるアジア映画祭が復活してくれますように。

    オーガナイズの事務所はフランス語フェスティバル名で、ツイッターもFacebookもしています。。。

                            ☆


    映画を娯楽ではなく、芸術文化して捉え扱い、芸術作品として評価する国。その中の大きな都市ではなく、たった一つの小さな、とても小さな面積の市が(面積わずか3.57平方キロメートル、人口わずか4300人 )アジア全体地域の国々の映画だけを取り上げ紹介しつづけてきて、16年。



    有名な監督や俳優の演じる、すでに日本で公開されている映画だけではなく、インドの宗教の争いやアジアのさまざまな地域の貧しさや、現実問題を取り上げるドキュメンタリー映画も沢山紹介していました。そういう、娯楽映画からは遠い、最初から最後まで二時間悲しい辛いドキュメンタリー映画(報道映画?)なども数多く取り上げられ、今年もまた見ようと出かけてくる意識の人がいて会場が埋まりました。私も最初の三本を見て、精神的に(こんなのばかりだったら、あといくつ見れるかナ、、と)ゼイゼイしたこともあります。辛いものです。ドーンと気持ちが落ちこむだけのものも多く。シリアスな(でありつつ華やかな)場所でした。これらのことはフランスに住む多国籍民族社会に沢山の豊かな学びや理解、共感や感動をもたらし、東西の距離を縮めてくれタと思います。



    「思い出が一杯すぎて辛い、悲しいニュース。」エリック



    大好きな作品は沢山。やはり思い出深いのは「おくりびと」や「ぞうの背中」とか、他沢山。Facebookに思い出の写真をアップしているようです。

    何年間もジャーナリストで通っていたアジア映画ファンのエリックの記事の一部を以下に。




    (Maisonhantée.com はワールドトップ500に入るアクセスのサイト)
    http://www.maison-hantee.com/files/deauvilleasia2005/deauvilleasia2005.htm
    http://maisonhanteecom.blogspot.fr/2009/04/deauville-asia-2009-journal-de-bord-dun.html
    http://maisonhanteecom.blogspot.fr/2010/03/ceci-est-mon-sang.html
    http://maisonhanteecom.blogspot.fr/2011/05/le-sherlock-holmes-chinois-chasse-le.html
    http://maisonhanteecom.blogspot.fr/2013/04/terre-despoir.html


    ドービル市も第二次大戦中はドイツ軍に占領されたり、ベトナムからの亡命の船(俗にいうボートピープルの船)が漂着したビーチに遠くない場所になり。アジア人二世として産まれてフランス国民として忠誠を誓って生きている東洋の血統の人が周辺に少なくない。私の過去の職場も、ドイツ軍の司令部でしたし。ちょっと買い物をしている最中でもお年寄りの「戦時中はね、、」という話しをよく聞きます。戦争の傷跡が残っている土地の人というのは、やはりちょっとひと味違う気がし、私などは親近感を感じます。



    こんな年も。京都からいらしたお茶園の方々。C.I.D. B1F 



    そういう意味で、カンヌ映画祭やアメリカ映画祭とは、根本的に似て非なるものだったのではないかなと思っています。余計に残念です。フランス人のある方も「まるでアジアとの扉がパタンと閉じたようだ。」と。

    広く報道されるグランプリ受賞作品の陰でなにが報道されているか。会場での出会い。そこにも大きな意味合いがあったのでしょう。きっとまた、再開されますように。願いを込めて。


      夕暮れのドービル 数日前


    数年前のインタビューのこと•••

    思えば、確か2008年、、か2009年頃の春の映画祭のとき(?)も、思い当たる事がありました。プレスのスタッフであるサムが、映画祭の開催中に映像カメラマンと共に会場を歩いており「君の奥さんにインタビューをさせてほしい」と夫に頼みました。私は映画をみている合間でちょっと顔も疲れていましたし、いやいや、、と笑って手を振って逃げ、夫を薦めたものの。いや、彼にもお願いしてもいいんだけれど、フランス人じゃなくてアジア人の君にお願いしたいんだ、頼むよ。僕たちスタッフは、この映画祭が続いてほしいんだ。映画祭が僕らだけじゃなくて皆にとっても大事であることをもっと確認し、広報したいんだ。微妙に心配なんだよね。ぜひ協力してほしい、といわれたことがありました。

    それで押しに押されて了解し、、なにを言うか少し時間をくれといって、大げさだなあと笑われつつ。私はカジノへ一杯のコーヒーを飲みにいって目を覚まして喉を潤しつつ考えて対応しました(そう、あの年は会場にカフェもバーもなにもなくなった年でした)



    内容はうる覚えですが。
    たしか、この映画祭が大好きで、このフェスティバルをしてくださるドービル市にとても感謝しているということを述べてから、フランスでのアジア映画祭は私たちにアジア人にとってとても大切だということ、なぜならばアジアの文化や精神性というものは西洋におけるそれとは違い、言語によって表現しにくいいもので、それは行間に隠れてあり、また無言の中にあるものだ、ということ、、、、そんな沈黙の意味合いを伝え表現できるのは、映画しかないように思う、いろいろな事が起こる世界だけれど、だからこそこういう交流が続いてほしいです?というような?確か、大体そんなようなことをいったのをおぼえています。
    、、、、今頃思い出しました。。


    いつも素敵な役所広司さん。私は小さい頃、NHKの中で見学していて役所広司さんにサインをいただいたことがあります♪10歳以下でした。(photo: Erick Fearson)



    インタヴューの途中でサムが大きく「よし」と頷いて手をぎゅっと拳にしたのをおぼえていますが、そのビデオは後に、映画祭のサイトのトップページに置かれてしまい。一年かずいぶん長い間延々と流れていて、、。大騒ぎをしていたのをおぼえています。自分ではとても直視できず、もう降ろしてくれたかどうかを数ヶ月に一回見に来るたびに、自分をアップでみて声を聞いて、言葉をきいて、鳥肌もので吐き気がするやら気分が悪くなるやらで。とてもまともに見た事がありません。さらにオンエアー当時私は対岸のトゥルビル市に勤めており、ドービル市を絶賛しているのでなにかと。。それもこれも、あの形が終わってしまうといういまでは、懐かしい、笑える思い出です。あんなものでもわずかでももしも役立ってくれていたなら、、





    このブログに貼る為に昔の写真を眺めるうち、思い出のビデオをみてYou tubeにアップにしてみました。
    撮影時はちょっとだけビデオモードにしたに過ぎず、まさかyoutube にアップするとは思っていませんで、手ぶれでクオリティが悪めですが。ぜひご覧ください。
    市井監督と紺野早苗さんの「無防備」の映画祭入り
    https://www.youtube.com/watch?v=G-H9MbNVCV8&feature=youtu.be



    長文お読みいただきありがとうございました。


         














    アジア映画祭に関する過去記事
    http://jp-blog.crossroad-yuko.com/?eid=1081714
    http://jp-blog.crossroad-yuko.com/?eid=946005





     

    第15回 ドービルアジア映画祭 15 Edition Festival du Film Asiatique de Deauville

    0

      ドービル  C.I.D. エントランス (後ろはカジノ・ド・ドービル)
      3月6日  オープニングセレモニーの前のひと時。小雨の中で監督の入場を待つプレスやスタッフ一行。観客はすでに会場に一杯。

      第15回 ドービルアジア映画祭が、
      一昨日の6日の夕刻のオープニングセレモニーにて、Yoo Ji-Tae 監督を迎え「Mai Ratima」の上映を封切りに始まりました。
      夫が大の(アジア)映画ファンで、毎年コンペティションの映画を欠かさず記事に書き起こして彼のウェブサイト  にアップしているので私も渡仏以来毎年機会をいただいています。このサイトがインターナショナルウェブサイトでのトップ500に選ばれており(エステティックや専門性、アクセス数など)私もそのベネフィスをいただいて毎年パスをいただいておりました。
      昨年は夫らのショートフィルム、DVDの撮影との絡みもあり、私も共に撮影その他でヘルプしていたので二人とも参加しておらず、全く記事を書けませんでした。

      私の知る限りでは、毎年オマージュで招待される監督はお一人と記憶していましたが今年のオーマージュは日本からの園子温 監督が WONG KAR WAI 監督と並び、二人。
      園監督は、昨年には『ヒミズ』で第14回ド―ヴィル・アジア映画祭批評家賞を受賞されており、それ以前にも映画は来られていて夫も記事にしていたのを記憶していますが、ヒミズ以降の今回のオマージュなどフランスでアーティストとしてますますリスペクトされてきているのは、アートで政治的圧力下にある問題を取り上げるアーティストへの賞賛を惜しまず、絶えずスポットライトを当ててゆく、このフランスという国のエスプリを感じました。、、、映画を拝見するまでは。希望の国を拝見した後では、これが一つの映画として純粋に素晴らしい作品であり、会場に溢れた涙や大きな拍手がそれを物語っていました。

      園監督の映画は今回、最新作の希望の国だけではなく、他に6本、計7本の上映でした。
      LAND OF HOPE / I AM SONO SION! / LOVE / THE ROOM / BAD FILM / I'M KEIKO / SUICIDE CLUB

      夫の仕事関係柄、私たちの友人はさまざまな分野、シアターやエンターテイメントや映像、作家や作曲家などなどそのほとんどがアーティストらであるという、そういう特徴ある視点からこの記事は書かせていただいています。実は私自身美大を出ていますが、この国でのアートそしてアーティストという概念については、すこし日本の現代と違うところを感じ、小さなカルチャーショックでもありました。

      フランスにおいてアートとされ、アーティストと呼ばれ賞賛をうけるのは、「今」という社会の現状にしっかりと根付いており、社会的な問題を見据えた視点を持っていて、自らの感性や技術を生かして、社会への問いかけや挑戦をしている(直接的にも間接的にも)、「いま」という時の重要なテーマを取り上げ、模索しているのがアーティストであり、そのような作品がアートであるという観念が根底にあるとおもいます。それがフランスらしい価値観、エスプリとおもえます。そのようなアートやアーテイストが最高の賞賛を受けるということを伝えられて来た私には、園監督の作品が今回(すでにフランスのアジア映画ファンには知られている存在ですが)招待され、広く一般的に紹介されていることがとてもフランスらしいと思われました。
      夫がぽつりと、この映画は日本でどんなふうに思われているのだろうね、どんな批評なのだろう?とつぶやきました。私も答えは、さあ、ちょっと、想像がつかないな。否定するひとがいるだろう、見ない人も多いかもしれない、それが今の日本らしいかもしれない、という感覚は心に当然ありました。事実は全く違うかもしれません。


      フランスと日本では、往々にしていままでも、賞賛される作品、特にマジョリティに賞賛される作品は、おなじでは無かったのではとおもいます。むしろ、外国でタブーとされ製作や出版を禁じられるような作品を、フランスは率先して支えて製作、出版してきた歴史があります。先日他界された大島渚監督もその一人でフランスでは映画監督として知らない人があまりいないのではと思いますし、逆に日本で(私は)知る機会の無かった、例えばLa Ballade de Narayama( 楢山節考 今村昌平監督 深沢七郎原作)などもここの映画ファンには絶賛されているように思われます。これはいわゆる乳母捨て山のお話で、このような主題は恐らく母国では広くは好まれないように思えます。

                              ☆


      映画「希望の国」(LAND OF HOPE 園子温 監督・脚本)
      昨夜の園監督の舞台挨拶では、プロとしてデビューされる以前の作品が沢山とりあげられていることに正直とても驚いているとおっしゃっていました。




      市長の挨拶、映画祭プレジデントの挨拶も大きな熱意を感じました。ドービルも例外ではなく、不景気の風を受けて多くのイベントをキャンセル、大幅に縮小してきました。なかでも、ジャズフェスティバルのキャンセルはここの住人の深い落胆と失望を呼びました。
      それでもアジアの映画祭を続けてくれているということを、まずここでは記しておきたいとおもいます。今年は、映画館での上映がなくなり、三カ所だった上映会場が、カジノとCIDの二カ所になりましたが、カフェバーも設置されているしテーブルも多く、SUSHIバーもできて、リクエストに応えてすこしずつ復活してくれていることは嬉しいことです。
      これからもますます力をいれたいという熱意がプレジデントの挨拶からも感じられ、また市長も実行委員会のすべてのスタッフに感謝し、アーティストを心から応援しており、彼がこの映画祭を大切に思っていることを感じました。


                                  ☆


      園監督の、昨夜の舞台挨拶

      園監督は舞台で「詩人、映画監督、作家、、」と確か、詩人であることを一番に紹介されたとおもいます。フランスの映画ファンはすでに園監督のことを詳しくしっていることでしょう。
      監督の舞台挨拶では、監督について知らなかった一般の人々にとっても、監督のピュアな人柄が感じられ、控えめで謙遜にみえる雰囲気の中にも、ユーモアや貫禄(自信)も感じられました。その前夜のオープニングで紹介されたYoo Ji-Tae監督は、すでに幾つもの映画に出演されている俳優でもあると伺いましたが、確かに俳優のような雰囲気で舞台慣れされている様子の彼のスピーチとは対照的でした。

      園監督がゆっくりと言葉を選びながら、ここドービルにどれほど来たかったか、そして招待されてどれほど嬉しいか、という喜びや感謝を率直に伝えることを、その素朴さにも、会場の人々は好印象と親しみの笑顔をもって耳をかたむけていたと思います。誰もが監督の喜びを感じとり、笑顔で共感していたと思います。そして、「デビュー前の作品を久しぶりにまとめて見て、そのモンタージュが非常に良くできていて、我ながら、いい映画だなあと自分で思いました。」という彼のユーモアある発言に、会場は笑いに包まれました。

      「彼は本当に、詩人のピュアな心を保っている人だね、、!」「アナーキストで革命家らしい味わいがあるね。どんな詩を書くのだろうね。」私たちはそんな会話を、園監督の挨拶のあとで交わしました。彼のような人は(とてもフランス的なアーティストであるという意味で)映画監督であることを越えて、詩人や活動家であることを含めて、園子温氏という人間性に注目されてリスペクトされいると感じますし、フランスでの賞賛はますます広まってゆくのではないかと感じます。



      映画 LAND OF HOPE は、大きな拍手に包まれました。その反響をきいて、明日の上映に来るという人は多いでしょう。友人が来て見てくれることは嬉しいことです。
      私自身も含め映画から受けた感銘は強く大きく、とても感情的に総ぶられました。それはまだ言葉になり切らず、その種は私の心の中で日々育っています。とてもパワフルな映画だとおもいます。
      映画については、また次回に。。。



      今すこし書けることは、私は映画館でこんなに泣いたことはないというほど泣いてしまい、実は終わってすぐに立ち上がって照明のあるロビーへ行くことができなかったのです。ですので反響がよくわかりません。

      いつもは映画を見て涙しても、パウダールームでお化粧直しをしながら目があった人や、隣り合わせた人々とともに「悲しかった」とか感想の言葉をかわしたり皆の声を背後に聞いたりするものですが。また、映画「無防備」の時のようにロビーで監督や女優さん方の周りに集う人々の言葉を聴いたり、「DEPARTURE おくりびと」の時のようにあとでホテル・ノルマンディー バリエールのロビーで友人カメラマンらカップルと共にいろいろな感想を交わすことが通常はできるのですが。

      今回は、うまれて初めて息を(声を)殺すのに努力したほど泣けました。終わって、とても顔が上げられず、サングラスをかけて背後のドアからそっと外へ抜け、その後のインヴィテーションも私はキャンセルし、静かに深い思いを探る夜を過ごしました。でもそこから、なにかが生まれて来ています。。

      とても悲しい、原発に対して悔しい思いを私個人としても痛烈に感じる映画でした。そして沢山の涙を流しましたが、それはどこか感じるに心地のよい悲しみ、流すべき涙を流させてくれたようでした。Sanityという言葉がありますが、とても 正気であるという証拠という気がする、そういう悲しみです。健全さの中には、苦しみや深い悲しみの住む場所があると思います。
      Insanity であることがまだまだ溢れている今の世界の現状の中で、このような感情を持て余しかき消してしまい、感じないようにする、そんな風潮は日本との交流やメディアからも沢山感じてきたことがありました。それはある種、心理的に通る道として、受け入れや癒しの過程として、自然なことでもあるとはおもいます。
      でも園監督の作品は、人々を幻想の漠然とした悲しみから正気の悲しみや視点へ、大切な問題にしっかりと向き合わせてくれる健全な感性と魂があるとおもわれ、それは希望でもあり、また個々に彷徨う魂の軌道修正もしてくれる、そんな映画と私には思えました。時々くりかえて何度もみたいとおもいます。各国の言葉に翻訳されて世界中の人に見て欲しいとおもいます。もし、世界中のひとが見てくれたら、この世界は良い方向へ変わるというそんな希望を与えてくれた素晴らしい、パワフルな作品でした。
      さて、これだけでは、なんのお話かさっぱりおわかりにならない、という方もおおいでしょう。記事をいつアップできるかどうか。気になる方はどうかお調べになってみてください。。まだご覧になっていないお友達は、ぜひ日本の上映場所を確認してご覧になってください。


      最後に。

      私の斜め前方の入口付近に、車いすで観にこられている老紳士と御婦人がいらっしゃいました。
      彼も何度も肩を震わせて泣いていました。私は彼の吐息を聴くたびに目をやり、車椅子に座ってスクリーンを見ながら肩を震わせて泣いている彼の後ろ姿を何度も暖かな気持ちで見守るように、ありがとうという気持ちと共に、この映画の底に潜む国境を越えて伝わってゆく力強さを感じました。
      世界中の人に、すべての友人に見て欲しいです。


      関連記事)
      http://jp-blog.crossroad-yuko.com/?day=20090319
      第11回ドービルアジア映画祭  〜映画:無防備 市井監督夫妻との出会い
      ドービルアジア映画祭「2015年 開催されず」 

      第11回ドービルアジア映画祭  〜映画:無防備 市井監督夫妻との出会い

      0

        FESTIVAL de FILM ASIATIQUE de DEAUVILLE


        2009年 第11回ドービルアジア映画祭が3月11日(水)から15日(日)の5日間、ノルマンディーのドービルで開催されました。
        今年は約2万人が入場、昨年を15%上回った(Ouest France紙)とのこと、いろいろなイベントがキャンセルされている昨今、すばらしい成績に日本人として喜ばしくおもいます。

        初日の11日、夜8時の開会式とともにインド映画FIRAAQの監督の上映でスタートし、以後4日間で35本の映画が上映されました。
        (ちなみにこのFIRAAQという映画は、NANDIA DASさんというインドの有名な女優の初めての監督作品で、インドでヒンドゥーとムスリムの共同体の間に起こっている暴動を見て彼女自身が感じている怒りや悲しみを世界へ伝えたいという思いで製作されたそう。映画祭のプレジデントはぜひ少しでも多くの人に見てほしいとの思いから、開会式と同時に上映。今インドで、実際にこんなことが起こっているのか、と驚かされました。)

        フェスティバルの会場は例年通りCID(ドービル国際センター)と向かいのカジノ・ドービルの二会場で随時上映されました。
        今回はCIDメイン会場にはカフェも出店も販売機も一切なしのシンプルでカジュアルなスタイル、昨年は会場内にカフェや日本料理があり、アジアンアートの数々の出店をはじめ剣道・居合などの展示もあったそう。一昨年までは加えてバーもあり、ジャーナリストやフォトグラファーは専用のフリー・バーがあって交流の場になっていたそうで、ジャーナリストたち(今回共に行動していたフランス各地の映画祭を撮っているフォトグラファーのPhillipe・PROSTやThierry VASLOT(彼は映画通)、そしてアジア映画が大好きで毎回ジャーナリストパスをいただいてMAISON-HANTEE.COMに映画の記事を書いているエリは、今年はなんにもない(rien!!)と驚いた様子でした。

        でも映画だけが上映されるのもシンプルで悪くないと、私たちは賛成。第一不景気で誰もが大変な時期、それに余計なごみを出さなかったり、お商売の気が満ちていないニュートラルな環境は、こちらも疲れないんですよね。

        というわけで私もなるべく家からお茶を持参しました。今回のお茶は、日本から母が送ってくれたインドのベンガル州にあるバイオダイナミック農法(私もオーストラリアで学んだシュタイナーの農法)のマカイバリ茶園 のダージリン。日本でも愛飲させていただいていましたが、暗闇で様々な映画を見続けるのに、精神的パワーやバランスを与えてくれる気がしました。

        ところで不景気といえば、ドービル市は毎年おこなわれているSWINGING FESTIVAL(ジャズを中心に始まったフェスティバルで、のちに広い範囲の音楽祭になった)を、今年はキャンセルしたそうです。フランスでも多くのアーティストが大変な時期を過ごしていますが、アジア映画祭はキャンセルされることもなく去年を上回る観客を集めたことは、アジア映画の威力、そしてフランスの人のアジアや日本への関心を感じました。


        無防備の上映前に挨拶をする市井昌秀監督と女優の今野早苗さん、お二人の長男のはやと君

        今回はジャーナリストのパスをいただくことができ、初めての映画祭を思い切り体験。集まった人々、監督や女優さんとの出会い、とりわけ日本からコンペティションにノミネートされた”無防備”の市井監督夫妻との出会いは嬉しく、Trouvilleでのディナーにご招待していただいて映画制作中の貴重なお話を聞きながら、心温まる時間をすごさせていただきました。

        ”無防備”は昨年夏のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)でのグランプリに続き、釜山映画祭でグランプリを受賞した話題の映画(自主制作)。脚本も市井監督自身によって実際のご夫妻の体験に基づいて描かれました。”妻の妊娠がきっかけで今回のストーリーが生まれたんです”という市井監督。その”妻”とは、女優の今野早苗さん。市井監督はもともとお笑いを目指していて、髭男爵のメンバーだったようです。今野早苗さんは舞台をしていて渋谷や下北沢でも活躍されていて、お二人は東京で出会ったそう。(素敵ですね)

        前作”隼”(2006)では市井昌秀監督の第一作目(今野早苗さんが製作)、PFFで準グランプリと技術賞をすでに受賞されているほか、2007年の香港アジア映画祭、New Talent Awardでグランプリを受賞。バンクーバー国際映画祭にもノミネートされました。
        今回の作品では釜山のグランプリの後も、先月にはベルリン映画祭に参加、フランス・ドービルのあとはイタリアへむかうとか。一作目、二作目と続けて世界を駆け回っている32歳の若手監督。静かで控えめ、親しみのある人ですが、言葉には情熱がこもっていて、さりげない会話の中にも洞察力の鋭さを感じます。おそらく彼は、人の表面的な演技などはすぐに見抜いてしまうのでしょう。その人間観察の鋭さからきっとよい作品が生まれ、その人柄が仲間やスタッフをひきつけるのでしょう。

        子供が生まれるシーンはどうしても実際のシーンを撮りたいという思いが、自然と脚本の書上げと撮影にタイムリミットを作り(十月十日とはいえ脚本を思いついたのが妊娠から2ヶ月程は経っていたとの事)あとは無我夢中で作り上げたという市井監督。そして、誕生という生と、それに対する死を撮りたかったと話してくれました。撮影からすべての製作細部に至るまで監督夫妻の手によって、ご家族や仲間の皆さんに支えられてできた手作りの熱意のこもった作品。それはお話を聞く前に、映画を見ていて私も感じました。

        ”本当に必死でした、皆に助けられ、見守られてできた作品” ”田舎で、出演者やスタッフの皆さんの宿泊も、公共施設を借りて、私も炊き出しをしたんです。それも私たちにできる本当にわずかなものを工面して” ”でも絶対に完成させる、やり抜くんだって。”と笑顔で振り返る今野早苗さん。笑顔の瞳の奥に、隠しきれない感情や情熱が見えました。涙なしには語れない貴重で壮絶な体験があったに違いありません。映画では自分自身の実際の妊娠、出産をストーリーと重ねての熱演で、出産・誕生のシーンを始め何度も私たち観客を涙の渦に。小柄な方なのにどこからと思うほどのエネルギー、強さ、優しさ、勇気を感じました。16時間かかったという初産の分娩室にカメラが入り、映画を意識していたという彼女。出産直後のシーンで共演のもりやあやこさん(彼女の演技も観客をひきつけ、泣かせていました)と見つめあい涙するシーンは、お互い本物の涙であったに違いない、すべてを賭けた映画制作の本当のストーリーを背後に感じ、共鳴するようにこちらにもそれが伝わって涙があふれてくるのでした。そして映画を見た後は、暖かさと、なにか静かな強さが印象にのこり、励まされるような気持ちになるのでした。いい映画は、こういう風に作られるのかと、お二人に出会ってお話を伺って知ることができました。


        会場へ現れた市井監督夫妻 カメラマンの前にて
        Photo by Thierry VASLOT (映画祭公式カメラマン)

        この映画が今回グランプリにならなかったのは、私は非常に残念に思いました。グランプリ作品(韓国)はたまたま見なかった作品で残念ながらなんともいえませんが、ジャーナリストやカメラマンで見た人の中では、日本映画のほうが良かったという声も聞きました。
        無防備の上映中は誰も席を立たずに最後まで見ていて(他の映画では20%強の人が席を立ったものも)、上映後の監督夫妻は大勢の人に囲まれていました。話したり写真をとる人々、映画中に出産されていたはやと君を愛で、早苗さんの熱演をたたえる人々で一杯でした。映画祭最中、前にも後にも目にしないほどの人だかりでした。
        夫妻は、賞をとるとらないだけではなく、今回ドービルにきて本当によい体験をさせていただきました。この体験をばねにして、次回作をがんばろうという気持ちがますます強くなりました。と話してくれました。次回作と共に、きっとまたフランスに来てくださいね!!
        今回の市井監督夫妻との出会いをはじめ、映画や映画祭の関係者の方との出会いは、いままで私にとってスクリーンの向こうの世界だった映画界を、なにか身近なものに、暖かな体温を感じるものにしてくれました。これからももっと映画を、そしてアジア映画を愉しんで見てゆきたいとおもいます。
        市井さん、今野さん、ありがとうございました!これからもますますご活躍されますよう、心から楽しみにして応援しています☆


        無防備 〜釜山映画祭グランプリ独占インタビュー〜 http://blogs.yahoo.co.jp/ahtoh_ru/26064573.html
        無防備 〜バラエティ・ジャパン 釜山映画祭グランプリの記事 http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d00000egb6r.html
        隼   〜カナダ・バンクーバー国際映画祭でのインタビュー〜 http://www.v-shinpo.com/06maple/43maple/maple.html

        ☆ フランスでのDeparture(おくりびと)の上映、フランスの人の感想などについて、またかきたいと思います。

        ****************************
        今回のコンペティション11作品 (2008年)
        NAKED OF DIFENSES(無防備): MASAHIDE ICHII   1976 (日本)
        ALL AROUND US: RYOSUKE HASHIGUCHI 1962(日本)
        ISLAND ETUDE: EN CHEN 1959 (台湾)
        FIRAAQ: NANDITA DAS 1967 (インド)
        BREATHLESS: YANG IK-JUNE 1975 (韓国) *GRAND PRIX(グランプリ) *PRIX DE LA CRITIQUE INTERNATIONALE
        MEMBERS OF THE FUNERAL: BAEK SEUNG-BIN 1977 (韓国)
        CLAUSTROPHOBIA: IVY HO 1958 (香港)
        THE SHAFT: ZHANG CHI 1977 (中国)  *PRIX DU JURY (審査員賞)
        TRIVAL MATTERS: PANG HO-CHEUNG 1973 (香港)
        L’ENFANT DE KABOUL: BARMAK AKRAM1965 (アフガニスタン)
        CHANT DES MERS DU SUD: MARAT SARULU1957 (カザフスタン)

        コンペティション アクション部門 5作品
        THE DEVINE WEAPON: KIM YOO-JIN(韓国)
        THE CHASER:NA HONG-JIN(韓国) *アクションアジア ベストフィルム賞
        THE MOSS: DEREK KWOK(香港)
        THE SNIPER: DANTE LAM(香港)
        FIREBALL: THANAKORN PONGSUWAN(タイ)

        コンペティション参加ではない映画
        DEPARTURES(おくりびと):YOHJIRO TAKITA
        セロ弾きのゴーシュ:高幡功 監督
        YAMAGATA SCREAM:NAOTO TAKENAKA

        A FROZEN FLOWER: YOO HA
        24 CITY: JIA ZHANG-KE
        ALL ABOUT WOMEN: TSUI HARK

        オマージュのLEE CHANG−DONG監督(韓国)から:GREEN FISH/ PEPPERMINT CANDY/ OASIS/ SECRET SUNSHINE
        LEE YOON−KI監督(韓国)から:THIS CHARMING GIRL/LOVE TALK/AD LIB NIGHT/MY DEAR ENERMY
         
        「ドービルアジア映画祭開催されず」
        http://jp-blog.crossroad-yuko.com/?eid=1081714
        「第15回ドービルアジア映画祭」(園子温監督)


        Article:FESTIVAL de FILM ASIATIQUE de DEAUVILLE 2008
        par erick
        (français)

        | 1/1PAGES |

        calendar

        S M T W T F S
           1234
        567891011
        12131415161718
        19202122232425
        262728293031 
        << March 2017 >>

        France

        selected entries

        categories

        archives

        recent comment

        • 簡易オイルランプの作り方。五分でつくれる明かり。ーロウソクのない時にー
          naomi (03/14)
        • 簡易オイルランプの作り方。五分でつくれる明かり。ーロウソクのない時にー
          ぎん (02/23)
        • ヨウ素(Iodine) ヨウ素剤について 雑記
          fanayuko (11/04)
        • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
          caen (09/21)
        • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
          fana yuko (09/09)
        • "Positive" の本当の意味について カモメの街から
          caen (09/05)
        • アイリーン キャディ (フォンドホーン創設者)の言葉
          fana yuko (06/20)
        • アイリーン キャディ (フォンドホーン創設者)の言葉
          takako (06/20)
        • いろいろな道の選び方。 職業仕事、進路。
          ファナ yuko (06/17)
        • いろいろな道の選び方。 職業仕事、進路。
          takako (06/16)

        links

        profile

        search this site.

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        無料ブログ作成サービス JUGEM